Skin diseases 皮膚病

じんましん

皮膚の一部が突然に赤くくっきりと盛り上がり(膨疹)、しばらくすると跡かたなく消えてしまう病気です。大抵は痒みを伴いますが、チクチクとした痒みに似た感じや焼けるような感じを伴うこともあります。個々の皮疹(ブツブツや赤み)は数十分から数時間以内に消えるのが普通ですが、中には半日から1日くらいまで続くものもあります。膨疹(皮膚の盛り上がり)の大きさは1~2mm程度のものから手足全体くらいのものまで様々で、また一つ一つの膨疹が融合して体表のほとんどが覆われてしまうこともあります。形もまた様々で、円形、楕円形、線状、花びら状、地図状などと表現されますが、それらの形に本質的な意義はありません。

入浴や運動など、体が温まった時、あるいは精神的緊張により汗が出る時に現れる蕁麻疹があります。通常、膨疹の周りを発赤が取り囲みますが、逆に周りが白く抜けたようになることもあります。大部分のものは出現して30分~1時間以内に消失します。もし何日も続くようであれば、蕁麻疹ではなく、アセモや湿疹など、他の疾患を考える必要があります。小児から20歳代に発症のピークがあり、年を取るにつれて軽くなることが多いようです。

蕁麻疹の原因、誘因には実に様々なものがあります。
食物、食品添加物、薬剤、植物・昆虫、感染症、真菌(カビ類)、細菌、ウイルス、物理的刺激、運動・発汗、内臓・全身性疾患、疲労・ストレスなど

アトピー性皮膚炎

アトピー性皮膚炎の患者さんは皮膚のバリア機能が低下しており、さまざまな刺激に皮膚が反応して炎症が生じやすくなります。皮疹の広がり方は小児と成人では異なるという特徴があります。皮膚から水分が失われやすくなるために、乾燥肌の患者さんが多いこともアトピー性皮膚炎の特徴です。アトピー性皮膚炎は、皮膚症状が悪くなったり改善したりをくり返し、強いかゆみのある湿疹が認められ、そして「アトピー素因」を持ちます。

アトピー素因は①家族にぜん息、アレルギー性鼻炎、アレルギー性結膜炎、アトピー性皮膚炎にかかったことがあるか、患者さん自身がいずれか、あるいは複数にかかったことがある。もしくは②IgE抗体ができやすいことをいいます。

アトピー性皮膚炎の診断基準として
1)強いかゆみがあること
2)アトピー性皮膚炎に特徴的な皮疹(湿疹)が認められ、また「体の左右の同じような場所」に湿疹があらわれます。

湿疹は、おでこ、目や口や耳の周り、首、手や足の関節のやわらかい部分にあらわれることが多く、皮膚症状が改善したり悪化したりをくり返すことが特徴です。
年齢的な特徴として乳児期は頭や顔に始まり、次第に体や手足に降りていく傾向があります。幼小児期は首や手足の関節に皮疹ができやすい傾向があります。思春期・成人期は上半身(頭、首、胸、背中)の皮疹が強い傾向があります。

アトピー性皮膚炎は、適切な治療により症状がコントロールされた状態が長く維持されると症状がなくなる「寛解」が期待できる病気です。ただし、患者さんの生活環境や生活習慣などによっては再び症状があらわれることがあるため「治った」とはなかなかいえません。アトピー性皮膚炎を長期間にわたって調べたデータによると、年齢とともにある程度の割合で寛解することや、症状が軽い患者さんほど寛解する割合が高いことも分かっています。治療は「症状がないかあっても軽く、日常生活に支障がなく、薬物療法もあまり必要としない状態に到達して維持すること」「軽い症状が続くけれども急激に悪化することがまれで、悪化しても症状が持続しないこと」を目標として進められます。治療により皮膚が一見きれいになっても皮膚の深い層に炎症が残る場合もあるので治療を途中で止めてはいけません。
ステロイド剤を併用しながらの漢方治療も可能です。是非一度ご相談ください。

にきび

かつては「青春のシンボル」といわれた思春期のニキビも、大人のニキビも、ともにやっかいなものに違いはありません。やがて治る…と放っておくと、長引き、クレーターのように凹んだ「ニキビ痕」の原因になってしまうこともあります。

ニキビとは、前額部(おでこ)、頬、口の周り、下あごなどにできる発疹をさし、おもに思春期から青年期にかけてよくみられます。この発疹は、毛穴に皮脂がたまり、出口が炎症を起こして小さく隆起したもので、すぐに治ってしまう軽いものから、ニキビ痕として跡を残してしまう重症のものまであります。一般に、思春期にできるものが「ニキビ」、大人になってからできるものが「吹き出物」といわれることがありますが、実は両者の区別はなく同じもの。どちらも「尋常性ざ瘡」という皮膚の病気の通称です。胸や背中の中心部などにできることもありますが、背中などの体にできるものは「毛のう炎(毛包炎)」とよばれる皮膚の症状の場合があり、対処方法が異なります。

ニキビの原因はさまざまですが、大きな要因は次の3つです。

  1. 1.

    毛穴の閉塞

  2. 2.

    皮脂の過剰な分泌

  3. 3.

    「アクネ菌」というニキビの元となる菌の増殖

正常な肌は約4週間のサイクルで角質が剥がれ落ちて新しい皮膚細胞に生まれ変わる「ターンオーバー」を繰り返しています。
通常、皮脂は毛穴から汗とともに排出されますが、ターンオーバーがうまくいかない場合、毛穴の角質が厚くなり、毛穴の出口が塞がれ、皮脂が詰まってしまいます。
そうすると、皮脂を栄養源にしている「アクネ菌」が過剰に増殖し、炎症を起こして発疹ができる、つまりニキビとなります。
角質の肥厚のみならず、皮脂が過剰に分泌しすぎると、やはり毛穴を塞いでしまいます。
特に思春期に増加する男性ホルモン「アンドロゲン」には皮脂の分泌を高める性質があります。思春期にニキビの発生が多いのは、この影響と考えられます。
また、もともと脂性肌であったり、糖分・油分の多い食生活やストレスの増加などもホルモン分泌の異常や皮脂分泌の促進につながり、ニキビの発生、悪化の原因となってしまいます。

毛穴に皮脂が詰まっただけの初期のニキビ(面ぽう・コメド)から、炎症を起こして赤く腫れあがった重症のニキビまで、「白ニキビ」「黒ニキビ」「赤ニキビ」の大きく3種類に分けられます。それぞれの特徴は下記の通りです。

  1. 1.

    白ニキビ…ニキビの最初の段階。毛穴に皮脂が詰まり、古くなった状態です。ニキビの患部が薄い皮膜で覆われて表面はまだ閉じており、発疹が白~乳白色に見える。

  2. 2.

    黒ニキビ…白ニキビが少し進行した状態。皮脂が盛り上がってニキビ患部の毛穴が開く。そこが空気にさらされ、酸化して黒っぽく変色したもの。

  3. 3.

    赤ニキビ…黒ニキビがさらに進行、悪化したもの。毛穴に詰まった皮脂に雑菌や細菌が増殖し、炎症を起こしてニキビ患部の周りが赤く腫れあがった状態。

大人になってもにきびの症状が続いたり、大人になって初めてにきびができる人もいます。
大人のにきびの発症メカニズムは思春期のにきびと同じですが、女性に多く、悪化因子としてストレスや睡眠不足、生活の不規則、不適切なスキンケアなどが見られます。
また、思春期と比べると乾燥肌の方が多いため、治療の副作用軽減のために保湿剤が必要になる場合があります。
無月経が続いていたり、体毛が濃くなったりしている場合には、多嚢胞性卵巣症候群によるホルモン異常があることもあります。

日常生活で注意することはストレスの少ない規則正しい生活をお勧めします。
食事や化粧に関する制限はありません。間食を避け、バランスよく摂ってください。
にきびを潰したり、触ったりしているとよくなりません。にきびを触らないようにしましょう。

にきびの重要な因子である皮脂の分泌はホルモンによって制御されています。
ヒトのホルモンには朝と夜で分泌パターンが変わるものがあり、睡眠不足や日中逆転の生活などは、ホルモンのバランスが崩れるのでにきびの悪化因子となる可能性があります。できるだけ規則正しい生活を心がけましょう。